ロート製薬株式会社(本社:大阪市、社長:吉野俊昭)は、「肌再生」や「機能性素材の探索」を研究テーマに掲げる研究拠点「ロートリサーチビレッジ京都」にて、“コラーゲン産生サイクル*”に着目した研究を行い、アッケシソウエキスに、コラーゲンの取り込みに関わる「Endo180」の発現を高める効果があることを発見しました。エイジングケアにおいて、コラーゲンの取り込みを促進するという新しいアプローチは非常に効果的であると考えられます。今後、高機能化粧品などの製品開発に応用していく予定です。
研究の背景

コラーゲンは線維芽細胞で産生され、線維を形成してしっかりと肌を支えた後、酵素により分解されて断片化し、線維芽細胞に取り込まれます。これを“コラーゲン産生サイクル”と呼びます。従来、コラーゲンの合成や線維化に対して広く研究が行われてきましたが、今回、新たにコラーゲンの代謝に着目し、断片化コラーゲンの取り込みに関する研究を行いました。
研究の成果
アッケシソウエキスが断片化コラーゲンの取り込みに関わる「Endo180」の産生を高める事を発見

試験方法:線維芽細胞を培養し、Endo180産生量を測定した。
アッケシソウエキスを加えると、さらにコラーゲン産生を促進する事を確認

アッケシソウエキスを加えると、コラーゲン産生促進効果を持つ「コラーゲンEX※」のコラーゲン産生能力をさらに増強しました。
試験方法:線維芽細胞を培養し、上清中のCollagenⅠ産生量を測定した。
考察
アッケシソウエキスがコラーゲンの取り込みに働きかけ、コラーゲン産生を促すと考えられます。
今回の研究により、アッケシソウエキスに、断片化コラーゲンを線維芽細胞に取り込むために必要な「Endo180」の発現を促進する効果があること、また、コラーゲン取り込みに働きかける「アッケシソウエキス」を組み合わせることで、コラーゲン産生を促進する成分の効果がより高くなることが示唆されました。
しわやたるみというエイジング症状をケアする上で、コラーゲンの取り込みを促進するという新しいアプローチは非常に効果的であると考えられます。今後この成分を、高機能化粧品などの製品開発に応用していく予定です。
<参考>
- Endo180
- Endo180はuPARAP(The uPAR-associated protein)やMRC2(Mannose receptor C type 2)とも呼ばれ、細胞内に物質を取り込むために必要な受容体の一つで、線維芽細胞や骨形成原細胞等にあり、紫外線などの影響で発現が低下することが知られています。
コラーゲンはMMPなどの酵素により分解されて断片化し、Endo180を通じて線維芽細胞に取り込まれます。
- Endo180はuPARAP(The uPAR-associated protein)やMRC2(Mannose receptor C type 2)とも呼ばれ、細胞内に物質を取り込むために必要な受容体の一つで、線維芽細胞や骨形成原細胞等にあり、紫外線などの影響で発現が低下することが知られています。
- コラーゲンの取り込みと皮膚老化
- コラーゲン産生と断片化コラーゲン取り込みの関係についてはまだ不明な点も多いですが、このメカニズムはコラーゲンの代謝に欠かせないと言われています。
最近の報告で、断片化コラーゲンの取り込みが阻害されるとコラーゲンの合成量が低下することや、露光部(しわになりやすい部位)では断片化コラーゲンが多くなっていることなどが示されており、コラーゲン取り込み量の低下も皮膚老化につながる一因であると考えられます。
- コラーゲン産生と断片化コラーゲン取り込みの関係についてはまだ不明な点も多いですが、このメカニズムはコラーゲンの代謝に欠かせないと言われています。
- アッケシソウとは
- アッケシソウ(英語名:Coral Weed、学名:Salicornia harbacea)は、アカザ科アッケシソウ属の多年草で、日本では北海道の厚岸町で発見されたことから「アッケシソウ」という名前が付けられ、秋になると紅紫色へ変化する姿からサンゴソウとも呼ばれます。葉や茎にはカルシウム、マグネシウム、カリウム、鉄分、リン等様々なミネラルを豊富に含むため、イギリスを始めとしたヨーロッパでも食用としての歴史は古いものです。
Front Biosci. 2009 Jan; 1(14):2103-14
J Dermatol Sci. 2014 Feb; 73(2):163-6
Int J Oncol. 2015 Oct; 47(4):1177–1188